日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
がん治療と栄養評価
奥川 喜永白井 由美子Donald C. McMillan三木 誓雄
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2017 年 32 巻 1 号 p. 829-840

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抄録

がん集学的治療はこの10年で飛躍的な進捗を遂げたが、その一方で積極的治療を継続・完遂するための支持療法、特に栄養療法は未だ確立されていない。しかしながら、治療前、治療継続中の栄養状態が、集学的治療に対する抵抗性や合併症発症率、さらに腫瘍学的予後と関連するエビデンスは、数多く報告されている。従ってがん患者に対する栄養療法を確立するためには、予後予測と関連する栄養評価法とそれに基づいた栄養療法を早急に確立しなければならない。本稿ではGlasgow Prognostic Score、Neutrophile/Lymphocyte Ratio、Prognostic Nutrition Indexなど、がん患者の予後予測因子として用いられている栄養指標の意義を、腫瘍分子生物学的見地から文献的に再評価し、当院における実際の運用例、およびそれに基づいた栄養療法の臨床成績を報告し、今後の展望を考察したい。

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© 2017 日本静脈経腸栄養学会
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