Probabilistic Data Linkageを用いた消防および医療機関データ突合の試み～検者間信頼性を用いた検証～(Probabilistic Data Linkage of local emergency medical service and hospital department data: a pilot validation study with inter–rater reliability)

Abstract

要旨【目的】Probabilistic Data Linkageを用いた消防機関および医療機関のデータ突合の精度について検者間信頼性を用いて検討した。【方法】2020年1月から4月の期間に奈良県立医科大学附属病院高度救命救急センターに搬送となった251例の奈良県救急医療情報管制支援システム（e–MATCH）データと291例の同センター外来日誌データ（転院や直接受診を含む）を対象とし，RのfastLinkを用いて次の3つの方法で突合した（①年齢，性別，病院到着日と来院日，②年齢，性別，覚知日時，③年齢，性別，病院到着日と来院日，病院到着時刻と受付時刻）。突合はe–MATCH側への突合とし，2名の検者が突合の正誤を検証した。【結果】突合されたデータセットは，①245例，②248例，③243例で，正の突合はそれぞれ198例（78.9%），209例（83.3%），215例（85.7%）で，誤突合は，①47例（18.7%），②39例（15.5%），③28例（11.1%）であった。検者間の信頼性CohenのKappa係数はいずれも0.7以上であった。【考察と結語】Probabilistic Data Linkageを用いることで消防データと医療機関の精度の高いデータの突合が期待できる。