臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
Symposium 2
Micro RNAとエピジェネティクスのネットワークは骨髄腫進行に関与する
半田 寛
著者情報
ジャーナル 認証あり

2015 年 56 巻 8 号 p. 981-988

詳細
抄録

近年がんにおいて,蛋白をコードする遺伝子だけではなく,エピジェネティクスの異常が注目されている。エピジェネティクスにはDNAメチル化,ヒストンアセチル化,メチル化や,micro RNA (miRNA)が含まれている。miRNAは蛋白をコードしない19~25塩基の長さしかない小さなRNAで,mRNAの分解や蛋白への翻訳を抑制することによって,遺伝子発現を制御する。MMにおいては,特定のmiRNA発現が著明に低下,miRNAの標的である抗アポトーシス遺伝子や細胞周期遺伝子,DNAメチル化酵素は著明に増加し,miRNAと標的遺伝子の間には負の相関が認められた。miR-34 family自体もメチル化され,その発現がエピジェネティックに制御されていることも判明した。miRNAと他のエピジェネティクスはネットワークを造りMMの進行に関与していると考えられ,MMのmiRNA発現検討は重要課題である。

著者関連情報
© 2015 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top