2015 年 56 巻 8 号 p. 981-988
近年がんにおいて,蛋白をコードする遺伝子だけではなく,エピジェネティクスの異常が注目されている。エピジェネティクスにはDNAメチル化,ヒストンアセチル化,メチル化や,micro RNA (miRNA)が含まれている。miRNAは蛋白をコードしない19~25塩基の長さしかない小さなRNAで,mRNAの分解や蛋白への翻訳を抑制することによって,遺伝子発現を制御する。MMにおいては,特定のmiRNA発現が著明に低下,miRNAの標的である抗アポトーシス遺伝子や細胞周期遺伝子,DNAメチル化酵素は著明に増加し,miRNAと標的遺伝子の間には負の相関が認められた。miR-34 family自体もメチル化され,その発現がエピジェネティックに制御されていることも判明した。miRNAと他のエピジェネティクスはネットワークを造りMMの進行に関与していると考えられ,MMのmiRNA発現検討は重要課題である。