空調システムの排熱は都市のヒートアイランド化の原因の一つと考えられている.本論は,事務所建物の空調システムから発生する排熱の特性を数値解析から導いたものである.まず,建築設備竣工資料から事務所用途の一般的な空調システムを割り出し,該当する熱源機器の成績係数をデータ収集し関数化した.次いで具体的に事務所建物を想定して夏期の冷房負荷を求め,空調用エネルギー消費量およびシステムCOP,空調システムの排熱量を算定した.そして,日中の気温上昇によるシステムCOPの変化や空調用エネルギー消費量の動向,空調システムが最終的に大気に放出する顕熱の大小関係を異なる空調システム間で定量的に比較した.