2019 年 44 巻 263 号 p. 11-18
建築物における再生可能エネルギー利用が注目されている。その中でも地中熱は,太陽光や風力ほど天候・地域に左右されにくく,利用しやすいエネルギー源に位置付けられる。新鮮外気を建物の基礎梁部分などを通過させて,比較的簡便に外気負荷の削減を行う場合,これをヒート&クールトレンチなどと呼んでいる。本研究は,この熱的効果の予測に,古典的とも云える差分法に基づく地中伝熱数値解析の手法を適用するものであり,トレンチ内のコンクリート表面を含む建物及び地盤の断面温度分布を算定し,それを元にトレンチの入口-出口間の空気温度差を推定して,期間取得熱量及び期間除去熱量を求める方法を考案したので報告する。